PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)は、「外傷性ストレス障害」と訳されています。
アメリカ合衆国で、ベトナム戦争から帰還した兵士に起こった
【戦争神経症】との関連で、研究がはじめられ、
重犯罪の被害者への援助においても、
非常に重要だった概念ですが、
犯人大震災後、日本でもその名がよく知られるようになりました。
PTSD【外傷性ストレス障害】とは、
過去において、傷つけられたことによる強い心理的ストレスにより、
現在の行動に制限(障害)が起こっている状態です。
ストレスと一口にいっても、
PTSD【外傷性ストレス障害】と関連するのは、
通常に言う範囲を大きく超えて、
生命の安全への直接的な打撃を受ける事態です。
大きな苦痛、あるいは、生命の危機を伴って、
あるいは継続的に身体的安全を脅かされるとか、
暴力や災害による、
通常ではありえない形の【怪我や死】を目の当たりにするなどです。
PTSD【外傷性ストレス障害】の症状
過去に起こった、外傷的な(傷つけられた)出来事が
繰り返し思いだされたり、
悪夢を見たり、
その出来事に関連する人や場所や会話をできるだけ回避しようと試みたり、
もしくは、
関連する出来事に遭遇すると、パニックを起こす。
また、
孤立感を感じ、感情の幅が狭まること、
睡眠が困難になり、
過度に警戒したり、びっくりしたりする状態
などの症状が一か月以上、
人によっては、一年以上にわたって続くことがあります。
PTSD【外傷性ストレス障害】の治療法
治療にあたっては、症状を「取り除く」のみではなく、
体験を「統合する」視点が必要です。
体験を統合する とは、
辛かった出来事を思い出し、
再体験したり、告白したりすることで、
以前とは、違った、体験がそこに追加され、
トラウマ的体験に上塗りされます。
事実をないことにしてしまうのは、記憶の抑圧や否認によって
新たな症状を呼び戻すことにもなりかねません。
むしろ、少しずつでも、その事実を胸の内に整理してゆく、
確かにあった体験として、統合してゆく、
という方向が目指されます。
いつまでも悪い思い出を乗り越えられないのは、
弱い人間だからだ、という思いこみや引け目を解消することが出発点です。
極限状況への病的心理反応は、誰にあっても、当然だからです。